一般的に、フェアなホワイダニット(動機を問うタイプのミステリ)を書くには、 フーダニット(犯人を問うタイプ)やハウダニット(どうやって 行ったかを問うタイプ)にはない難しさがあります。 「正しい」動機を読者に納得させなければならないからです。
犯人や犯行手口は、証拠を提示することができます。その証拠が あったため、犯人は××であった、と書けるのです。が、 動機は物質的なものに反映されないため、はっきりとした「証拠」が 存在しません。そのため、いくら「動機は××である」ということに したくても、本当に犯人が××のために犯行を犯したのかは わからないのです。極端な話、太陽がまぶしかったから殺した、ということだって 言いうるわけですから。
では、ホワイダニットなミステリではこの問題をどのように クリアしているのでしょうか。それは、犯人が実際にはどう考えてたか なんてことは何も考慮せずに、「これなら十分な動機になるに違いない」 というものを探り当てる、という趣向にしてしまうのです。 これならば謎解きとして成立しますし、 うまくやればフェアネスを確保することもできます。
そのようにして提示された「動機」が本物かどうかなどということは 問われません。少なくとも作者と読者はそんなことを巡るゲームを 行っているわけではないのです。「動機」がどれだけ意外なものか、 そしてそれがいかに巧みに隠されていたか、そういったゲームが 成立することこそが求められているのです。 いや、もちろん例外的なホワイダニットもあるでしょうし、 フーダニットやハウダニットだって怪しいものかもしれませんが。
……などということを、アメリカがイラクを攻撃している「目的」を 考えている人たちのページを見て思いました。
最近読んだコバルトから。
『神遊び』の表題作はコバルトノベル大賞と読者大賞をW受賞した作品ですね。 この本はその作品を含めた三篇からなる短編集です。
表題作はさすがに達者な感じです。過去と現在X2の話が同時進行するところも うまくさばいています。二つ目と三つ目のお話は外伝というか、 同じ設定の話なわけですが、二つ目はともかく三つ目の話はちょっと。 悪い意味での「SS=サイドストーリー」みたいです。とにかく、 おばあさんの語り文体なのに、ぜんぜんおばあさんっぽく見えなかったのは 私だけではないと思います(そうでもない?)。 ひょっとして単行本にするために無理やり付け足したんですかね。 これならば、いっそぜんぜん違う話でも書いたほうがよかったんではないでしょうか。 とはいえ、全体としてはよい感じでした。そのうち何かがふっきれると 『マリみて』みたいなお話が書けるかもしれません(<単に今野緒雪もW受賞だった というだけ)
『ブルーローズ・ブルース』は久藤冬貴の二作目。 ふーむ、こんな感じの話も書けたんですね。ちょっと意外でした。 作品紹介では「大正浪漫、大爆笑&ちょっと純愛活劇」とありますが、 「大爆笑」ではなく「笑い」くらいだったのを除けば、 まさにそんな感じのお話。雰囲気の出し方と崩し方がスマートだったと思います。 もっとも大正時代にうるさい人だとまた感想が違うかもしれませんが。 前作よりはお勧めかな?
はてなダイアリーの更新時刻が取得できない(Last-Modifiedを返さない)のですが、 これは更新時刻を外部アンテナには教えず、はてなアンテナからのみ利用 できるようにすることによって、他アンテナを駆逐してはてなアンテナの独占体制(謎) を敷くという策略によるものなんでしょうか?(<考えすぎです)
それ以前に、 はてなダイアリーってRSSとかを出力してくれたりはしないんでしたっけ。
もう一つは、「湾岸戦争」についてしゃべったり書いたりした人々が、 例外なく「わたしは知っている」という態度をとっていたことです。 だれも「わたしはなにも知らない。イラク人の知り合いは一人もいない。 サダム・フセインがなにを考えているかわからない。ブッシュの いっていることにはどの程度真実が含まれているのかわからない。 イスラエルの歴史も知らない。わたしにはなにもわからない」とは いわなかったのです。わたしの考えでは、まず、いわれるべきであったのは そのことであったのです。「知らない」ということがなにより重要であったのです……。
(略)
そして、どうして人は、いつもなにかをする時、それを正しいものであると 認めたいのか、わたしにはよくわからないのです。
(略)
わたしの考えでは、人々が疑いを持っていないことが一つだけあって、 それは「なにかを考える」ことと「なにかをする」ことを物語として 関連づけるということです。そして、今日わたしが話してきたように、 物語には真のコミュニケーションが欠けているのです。
(略)
おそらく「なにかを考える」ことは他の「なにかを考える」ことにだけ 関係があり、「なにかをする」ことは他の「なにかをする」こととだけ 関係があるのです。われわれの……わたしの「なにかを考える」と「なにかをする」は、 なんの関係もないまま、放置されています。いつか、その間にほんとうの コミュニケーションが存在する時が来るのでしょうか。(略)
(高橋源一郎『正義について』より(『文学じゃないかもしれない症候群』所収))
いかにも高橋源一郎らしい文章ですね。
しかし個人的に問題なのは、もう一方の当事者であるアメリカには知り合いがいない どころではぜんぜんないことだったりします。
細井さんからの情報で、はてなダイアリーはHEADリクエストに対しては Last-Modifiedを返してくれる、とのこと。そうだったんですか。 情報ありがとうございます。
でも、いちおうHTTP/1.1的には、HEADとGETでは同じヘッダ情報を 返すべき(should)、ということですし(RFC2616 "9.4 HEAD")、 GETリクエストでもLast-Modifiedを返してくれる方がよさげではありますが。
うわ、どうもわざわざありがとうございます……と思ったら 戻してしまったんですね(汗 いや、まあHEADリクエストで 時刻が拾えればそれでなんとかなりますので。
ところで、「ちょっとした更新時や、ページ内のアンテナが、 ブラウザによってはページ表示時に更新されず、古い情報が 表示される現象が発生する」というのは妙ですね。 アンテナはともかく(アンテナの更新とLast-Modifiedの値の更新が 一致しなければ、アンテナが更新されても古いページが表示されるのは 仕様上正しい動作でしょう)、何らかの更新を行って、 Last-Modifiedの値が更新されれば、ブラウザが送る If-Modified-Sinceの値も変わるはずで、そうすれば サーバが返すページも変わりそうなものなんですけど。
ミステリー’zさんとこの 第34回星雲賞候補作発表ですが、 星雲賞は「ノミネート作品の中から、 毎年の日本SF大会参加者による投票によって決定されるもの」 ではない(ノミネート作品外でも投票可)ですよね? まさか規約が変わったとかないですよね?>星雲賞にくわしいひと
細かいつっこみでなんですが、ここは重要なところなので。
色占いですが、こういうのは途中で飽きてしまうので、 結果までたどり着けないのでした。 誰かわたしの代わりにわたしっぽく答えてくれないでしょうか<無理です
すばやい(ほんとに)フォローありがとうございます>細井さん、Hirayanさん
というわけで年次日本SF大会におけるSF賞選定に関する規定は平成十四年二月以降 は変わっていないようです。
そういえばT-CONの企画ですが、ガマトラ集会って、「ガラトマ集会」の typoなんでしょうか? それともほんとにこういう企画名? (URLもgamatora.htm……)
はてなの近藤さんがたくさんいるとしても、 タイムマシンも持っている中田さんほど 多くはいないように思います :-)
nDiary for Windows(powered by Exerb)、おもしろそうです。
劣化ウラン弾の ソースを示したページとしては、 IPSHU 研究報告シリーズ 研究報告No.29 『武力紛争における劣化ウラン兵器の使用』があるようです (セキュリティホールmemoより)。
煽情的にならずに、詳細に論じてくれているので、安心して読めます。