ただ、風のために。5 (2002/December)

遠い記憶
1999 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2000 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2001 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2002 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]

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2002/12/14 (Sat)

無線タグ続き

無線タグのポイントは、 「その物自体は単にIDを持っているだけなのに、 ユビキタスな世界の中では、その物自体にさまざまな情報を持たせられる (ように見せかけることができる)」というところだと思います。 これは、IDが一意(ユニバーサルにユニーク)であることと、 IDを認識できるものがあちこちにあり、それらの間で情報を 交換できることから導かれます。

という話とはあまり関係なく、 紅旗征戎非吾事の12月13日にある、無線タグと図書館の話について。 人間にタグをつけるのはまずそうので、やっぱり市民カード(ICカード) 路線でしょうか。確かに将来的にはそういう路線になりそうですね。 図書館よりもレンタルCD・ビデオ屋さんがやりたがるかも。

小熊英二は私も気になってます。

[cobalt] 片山奈保子『さよなら月の船』

久々の竹岡美穂さんによるイラストの新刊です。

このタイトル、どうしても「でも、あたしたちはきたよ」の 一言にみんなが泣いた(<嘘かも)森絵都の傑作小説『つきのふね』を 彷彿とさせます。が、当然ながら内容はとくに関係ありません。 でも、小道具としての「月の船」の位置は近そうです。

お話は……これがいまどきめずらしいような気がする、 ストレートな青春成長譚です。 主人公はおとなしい中学生の女の子。 父と母は離婚。仲のよい友達。そして、気になる (けれど恋にまではいかない)男の子は陸上部の俊足。 まさに王道。

読んだ感じでは、 特に始めのほうで、ちょっと主人公の気持ちを説明しすぎかな? という感じが あったのですが、話が進むにつれてあまり気にならなくなってきました。 中盤以降はストーリーの展開が大きくなっていくからかもしれません。 でも、それに振り回されずに、着地もしっかり決まっています。

『マリア様がみてる』なんぞを読んで、 いまどきはこんな変化球でも使わなければ、 ミステリとかSFとかファンタジーとかホラーとかじゃない 現実世界の学生たちの青春小説は書けないのかしらん、 と遠い目をしてしまうような方にはぜひ勧めたい、 直球ど真ん中の作品でした。

美穂さんによるイラストは相変わらず素晴らしすぎです。 しかも、内容にぴったりはまっています。 表紙のイラストにひかれるものがあったら、ぜひ一読を。

最後に、どうしても言いたい一言。……「月の船」は、 夢想するためのものでも、忘れるためのものでもありません。 月の船は、作るものか、乗るものです。


2002/12/18 (Wed)

『たのしいRuby』

あおきにっき つっこみつき(2002-12-16)のRDの話より。インライン指定とかも 使いましたが、最終的には編集者さんにお願いしたり、紙ベース(ゲラ)で 指示してお願いしたりしてました。というか、編集者さんには休日返上で ずーーーっと推敲に付き合っていただきましたし。

とにかく、『たのしいRuby』がそれなりのクォリティを持っているとすれば (いや、実際持ってると私は思うんですけど)、それは二人で書き、双方の 書いたものを二人で一緒に(さらには編集者さんも交えて三人で一緒に) 推敲を重ねたことにあるでしょう。自分勝手な表現や他人には伝わりにくい 表現は推敲していく過程でだいぶ減ったようですし、 説明し忘れてたところも気づきますし、 技術的に不安なところもちゃんと確認する気力が沸いてきますし。 この辺はペアプログラミングと同じ理屈ですね。 さらに、二人だけだと脱線しがち(脱線しまくり)になりやすいものですが、 編集者さんと三人でやれば、集中力も高まるようでした。 もちろんここまではそうそう望めないにせよ、 理想的な執筆環境でした。

……という苦労の元に書かれた内容よりも、各部の部扉にある引用が話題になりやすい 本になってしまったきらいもあったりするのですが(汗、そのような感想のひとつ、 齋藤さんの土踏まず日記(2002.12.16 (月曜日))。 私の日記などを読んだことがある人が、 何も知らずにあの本を読んだ、というケースは始めて聞いたかもしれません。 そりゃあさぞかし面白い体験だったことでしょう。 私も一度でいいからそういう読み方をしてみたかったです :-) それはともかく、たのしんでいただけたようでなにより。

三原順の引用については、ディー(ダドリー)は作中では職業プログラマという 設定なんで、 とっても素直な引用だと思っていたのですが(少なくとも紺野キタよりは)、 意外に諸方面でうけていたようです。個人的にはパズル・ザ・ジャイアントの 引用を思いついた時点で「勝った」と確信しました(何にだ)。

金光雅夫『Ruby-DB ウェブデザイン』

主にRubyの関する書籍は全部買うことにしたので、この本も 買いました。各所で話題のこの本ですが、つっこみどころには 事欠かないようです。

とりあえずp.266の『たのしいRuby』についてのコメント、 「私は、この本を読んだとき、どうしてUnixに特化した 本ばかり書くのだろうと思ったものだが、(以下略)」という のはどういう意味なんでしょうね。Unix特有の機能は あまり触れてないですし、インストールはWindows9xも NT/2000/XPも書いてありますし(私が書いたのではないで 偉そうなことは言えないのですが)。

それにしてもあの長大な「付録」は謎です。

みらいのとしょかん

G.C.W.さんのところ(2002年12月15日)より。 わざわざ職員が注意せずとも、 借りた本を別の書架に入れようとした時点で、書架が 「その本はXXXの書架のX段目の右からXX番目、 ○○と××の間に返却してください」みたいなことをしゃべりだす、 ということも可能ですよね。まさに完璧な管理。

それと、市民カード(たぶんG.C.W.さんが想定しているようなものです) での認証について。ICカードを正しく使えば、カードそのもののID?を使うのではなく、 カードの中に保存されている、図書館専用の個人情報IDを使って認証を 行うこともできるように思います。要するに、番号は独自、その番号を 記憶しているカードは共用、ということですね。 Webの仕組みにたとえるなら、 ICカードがWebブラウザ、個人情報用IDがクッキーに相当します。 これによって、図書館が持つ情報は図書館内部のみで管理できる仕掛けも 実現できると思います(技術的には、ですが)。


2002/12/19 (Thu)

メモ

あるプロジェクトで、私は、Rubyを使って自動化された再利用可能なカストマー・テスト・フレームワークを開発しました。私の考えでは、Rubyはこの作業に対して考え得る最善の言語です (Smalltalkで行う方法が判明しない限り)。このフレームワークでは、顧客役はシステムが実行しなければならない "アクション" を指定します。構文は英語とほとんど同じです。興味深い部分は、顧客役が作成するテスト・スクリプトが実行可能なRubyコードである点です。Rubyフレームワークは、各スクリプトを読み取り、各アクションを実行し、それぞれについて "合格"または "不合格" を示します。フレームワークは、IBM Standard Widget Toolkit (SWT) で記述されたWebアプリケーションとデスクトップ・アプリケーションを扱うことができます。顧客役にはその価値がすぐにわかります。私の会社RoleModel Softwareでは、このフレームワークのオープン・ソース化が計画されています。
We've developed a lot of tools in Ruby including test::unit (now part of the standard Ruby release), the Ruby Development Tool (RDT) plug-in for eclipse as well as advanced system testing and building tools. We've also built some applications in Ruby.
The Ruby Development Tool is a Ruby resource aware plugin for the Eclipse platform.




written by TAKAHASHI 'Maki' Masayoshi (maki@rubycolor.org)
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