ただ、風のために。5 (2002/May)

遠い記憶
1999 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2000 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2001 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2002 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]

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2002/05/01 (Wed)

いわゆる「引きこもり」にも対応したフリースクール

えー、宣伝です。ネタではありません。

私の高校以来の畏友・相馬と、大学時代の知り合い・山田が、 札幌でフリースクールを始めるそうです。

最近ではフリースクールも全国的にたくさんできていて、 札幌でも10くらいのフリースクールがあるようですが、 このフリースクールは「訪問型フリースクール」だそうです。 聞き慣れない名前ですが、これは要するに、フリースクールにも通えない、 いわゆる「引きこもり」の子供もサポートするためのスクールだとのことです。

その名も、『漂流教室』。……いや、だからネタではないんです、ほんとに。 私も最初に聞いたときには爆笑しましたが。

でも、「北海道フリースクール等ネットワーク」 にも加盟してるみたいですし、すでに小学館の方にも連絡済みの上、 その方曰く、楳図かずお先生にも了承をとりつけてある(!)ということ だそうなので、本当にこれでいくんでしょう。 いきなり手術や殺し合いをしたり、未知の生物とご対面したり、 「ギャッ」とか叫んだりするわけではないみたいです。

なお、サイトに書いてある料金は変更があるかもしれません。 というか、値上げした方がいいんじゃないかと言っておいてあります (あの料金ではいろいろと厳しいらしいんで。でも、金が回らないことには はじまらないですしね)。 でも、高くしてしまうのも難しいみたいで、悩んでいるようでしたが。

というわけで、札幌近郊で引きこもりがちだったり、 本当に引きこもっていたりする近しい人がいる方は、 『漂流教室』(やっぱり笑ってしまう……)まで お問い合わせください。私も詳しいことはよく知らないので。

以上、宣伝でした。

メール

関係ないですが、東京めたりっくのメールサーバが死んでるみたいです。 ちょっと早めに送りたいメールがあるんですが、うーん。


2002/05/06 (Mon)

模様替え

GWの後半、部屋の模様替えをしてました。

その前まで、

という状態だったので、単に物置きと化していたパソコンデスクを復活させる べく、模様替えを決行しました。

パソコンデスクは机の面積が小さく、 まともに文献とかを並べながら使うことができない、という欠点が あったため(だから使われていなかったのですが)、それを克服するべく 同じくらいの高さの引出しつきの収納ケース(ポリプロピレン製)を購入、 机の横に置くことに。

これでもう少しまともな生活環境とマシン環境が構築できるといいんですが、はてさて。

買うべきもののメモ

椅子、敷物、本立て、文庫用ケース(これは優先度低)。

SFセミナー

今回のセミナーは、奥泉光企画と東浩紀企画がよかったですね。

奥泉語録(ややうろおぼえ):

東さんについては長くなりそうだったので今日はパス。 でも、機会を改めて書いておきたいところです。

オイディプス症候群

矢吹駆シリーズ最新作、『オイディプス症候群』を読み終えました。

感想:ミステリとしては傑作。カケル・サーガの一篇としては、まあふつうっぽい 感じだけど、本気で評価するなら関連文献の読み込みと再読が必要かも。

今回の趣向は、何よりもまず「孤島に無関係の人々が10人集められ、 殺されていく」という、誰がどう見ても『そして誰もいなくなった』を 想起させる設定でしょう。 この「無人島に10人集める」までのプロセスが素晴しい。 本家はもちろん、追随する作品でも、この導入の辺りはさらっと済ませることが 多いように思うのですが、本作ではこれを非常に丁寧に行っています。 さらに、何故彼らが集められてかについても、推理を重ねてくれるという サービスの良さ。

今回はコード型ということで、さまざまな先行作品を露骨に反映させて います。そのコードが、最後に綺麗におさまる。本格としてはやや 苦しいところもあるにはありますが、その部分の処理も含めて、 作者の力技には脱帽する他ありません。

しかしながら、フーコーの権力論とカケルの現象学との対決は、 あまりどうと言うことはありませんでした(というか、そもそも対決に なってないような気が)。もっとも、今にして思えば、『バイバイ、エンジェル』と 『サマー・アポカリプス』が特殊すぎた、ということなのかもしれません。 ただし、本作にフーコーの権力論がどのように反映されてるかについて、 明示的に書かれていないことも含めて検討するには、もうちょっとちゃんと フーコーについて勉強しないと断言はできません。

……以下、本作と、クリスティ『オリエント急行の殺人』 『そして誰もいなくなった』、 綾辻行人の館シリーズについて触れます。未読の方は 読まないことをお勧めします (けど、ネタバレ覚悟で読みたいという人は止めません)。

ちょっと手元に本が見当たらなくて確認できなかったのですが、 これ、「オリエント急行の殺人」も踏まえてますよね。というか、 舞台設定としては『オリエント急行』と『そして誰もいなくなった』の 合体ロボという感じかと思うのですがどうでしょう。他にもあるかな?

『オリエント』と比較するポイントは、もちろん殺人の動機となる事件 (リンドバーグ誘拐事件)ですが、これのアレンジの仕方も微妙に 現代風です。「女優」が出てくるのも『オリエント』由来、 というのは言いすぎかも。

また、第10章での、『そして誰もいなくなった』の戯曲版のラストを 踏まえた展開(ちょっとうろおぼえ)もぐっときます。

さらにさらに、「秘密の通路」の設定、地下に広がる迷宮といった意匠は、 『館』シリーズに対する「挑戦」と言ってもいいんじゃないかと思います。 もっと言うと、「秘密の地下室」と地上とを往復する犯人は、 『十角館』における孤島と本島との往復を反復する犯人に対置される ものかも。……てな感じで、いくらでも深読みできそうなほどに 配置される意匠の連続は、マニアにはたまらないでしょうね。

意外なリンク

助田さんのところからリンク。あー、意外だったのは、 助田さんが他のサイトのミステリな記述についてリンクされることって ほとんどなかったような気がしたので。


2002/05/07 (Tue)

SFセミナー動物化企画

で、SFセミナー東浩紀企画です。

企画に先立って、『動物化するポストモダン』はざっと読んでいました。が、 感想としては、

という感じで、正直、あまりよくありませんでした。

で、多少遅れて参加した(すでにエロゲとギャルゲーのタームについて話していた) のですが、なんかいきなり殺伐とした雰囲気でちょっとびびりました。 いや、いい意味で盛り上がっていた、とも言えますが。上に挙げたような 論点は瑣末なことで、もっと大きな枠組が問題となっているようでした。

さて、東さんの意見を自分流に言い直してみると、↓こんな感じでしょうか。 記憶で書いているのと、私流の語彙に直している部分があるので、 かなり不正確なのはご了承ください。しかも順序も適当です。

「SF的想像力」については、 「通信傍受法と想像力の問題」とか、 山根信二さんとの対談 「コンピュータ文化なき日本」で語られていた 「想像力」と同型のものでしょう。 「日本人なんだから」についても、一種の共感力・想像力の問題と 考えられるべきかもしれません。

SFマガジンで「9.11以後の世界とSF的想像力」みたいな特集を行い、 通信傍受法や個人情報保護法案に関する記者会見の席で、 その号を手に警鐘を鳴らす図、というのは、 なかなか面白い光景じゃないかと思います。 政治的な目的でSFを書くのはどうよ? という意見もあるとは思いますが、 逆に政治的な目的すらもSFの発展の原動力にすることは、SFにとっても いい刺激になるんじゃないかと。 別に片方に寄らなきゃいけないわけでもないですしね。

あと、ジャンルの歴史(認識)について語る作業を行うことをジャンルプロパーに 対して要求することについては、痛いところを突かれた感じです。 なんというか、たとえば新本格やライトノベル・ヤングアダルトの歴史と 思想については、我々(って誰?)がちゃんと語っておくべきものなんだけど 現状それをさぼっている、という認識がないわけでもないので。

というわけで、いろいろと刺激を受けた企画でした。 東さんは文章で読むよりも面白い人だったので、 ちょっと応援していこうかな、と思っています。 まずは対抗論文を書くところから始めるべきですかね。 でも面倒くさそう……(<逃げ腰)。

HIROPON

のぞみからメールが。村上隆の「HIROPON」が、 NYクリスティーズ表紙を飾るんだそうな。


2002/05/08 (Wed)

[BOOK] 図書館は著作者等の権利を侵害している?

滅・こぉるさんの 1.10235(2002/05/07) バブルの図書館 でも触れている図書館問題ですが、実際のところどれくらいの 影響があるんでしょうかね?

日本ペンクラブが出した 「著作者の権利への理解を求める声明」 では、「著作者等の権利を侵害する動き」として新古書店、 漫画喫茶に加えて 「公立図書館の貸し出し競争による同一本の大量購入」を挙げていますが、 図書館問題研究会ではこれに対し、 「日本ペンクラブの「著作者の権利への理解を求める声明」について(見解)」 の中で、

当研究会で1999年8月〜9月にかけて行われた調査サンプルによれば、1998年のベストセラー20点の購入費の資料費全体に占める比率がもっとも高い図書館でも1%程度である。(『みんなの図書館』2000年3月号)。ベストセラーの大量購入によって、資料費が圧迫されているという事実も存在しない。ベストセラーのみを購入する図書館は存在しない。ベストセラーの要求に確実にこたえている図書館は、同時に高度な専門書を含め幅広い蔵書構成を有しており、それらに対する要求にもしっかりこたえている。

と答えています。

個人的には、図書館は「図書館の自由に関する宣言」という、およそ本に関する宣言の中で もっともかっこいい宣言を掲げているところだと思っているので、 この宣言を守るべく、頑張っていただきたい、とは思っています(が、 実際はいろいろ腐っているところもあるのかもしれません)。

さらに、また別の図書館関連の研究会である 日本図書館研究会が出している『公立図書館の役割を考える』 【 bk1 / ISIZE / 旭屋 / Jbook / BOL / 紀伊國屋 / amazon / eS! / 富士山 / 本屋さん 】の目次も見つけたのですが、

第8章公立図書館の役割を考える
1. 公立図書館に静寂さは不要である
(略)
5. 蔵書は住民の資料要求を反映したものでなければならない
6. 蔵書の善し悪しは貸出冊数となってあらわれる
7. 資料保存機能はすべての図書館に必要ではない
8. 図書館員のプライドで本を選んではならない
9. 図書館は「良書」「悪書」の判断をくだすところではない
10. 蔵書は利用されるかどうかが問題である
11. 相互貸借は過剰サービスではない

などなど、面白そうな見出しが並んでいます。

[BOOK] ヤングアダルト・ライトノベルの起源についてのメモ

メモです。

新井素子のデビューは1977年説と1978年説がありますが、 これは奇想天外新人賞の募集・発表が1977年で、 掲載されたのが奇想天外1978年2月号、単行本発売が1978年12月、 ということでいいんでしたっけ?

1978年は栗本薫が『ぼくらの時代』で小説家としてデビューした年でもありますね。 この作品、ヤングアダルト・ライトノベルの起源の文脈で触れられることは あまりないような気もしますが、

 だけど、これまで小説なんか書いたこともないから、 ぼくにはどう書いていいのかもよくわからない。何からはじめれば いいんだろう。自己紹介?
 ぼく栗本薫。二十二歳、みずがめ座。某マンモス私大の三年生で、 ロック・バンド『ポーの一族』のキーボードとボーカル担当。(略)

と、「あたし爆弾」的な文体ではあります。 しかしこの頃でもミステリは大学生なのか。ふむ。

氷室冴子のデビューも1977年。でも、『白い少女たち』『さようなら アルルカン』はかなーり硬い文体だったような記憶があります。

高千穂遥のデビューも1977年でしたっけ。しかしこちら (『クラッシャージョウ 連帯惑星ピザンの危機』)は未読だったりします。

とすると、1977年というのが、 ヤングアダルト・ライトノベルの起源を考える上での 一つの指標になる年かもしれません。


2002/05/09 (Thu)

[BOOK] 図書館問題・『図書館栄えて物書き滅ぶ』

図書館に関してですが、 楡周平「図書館栄えて物書き滅ぶ」(新潮45の2001年10月号掲載)に データが載っているそうです。

[BOOK] 図書館問題・公貸権と貸出制限

図書館問題の解決策としては、『公貸権(Public Lending Right)』 と『期間限定の貸出制限』という提案があるみたいですね。

[BOOK] 新井素子デビュー年

のださんとこの02/05/09からリンク。 詳しい情報ありがとうございます(_o_) ちなみに、私が調べたところで判らなかったのは、

というところだったりします……。つうか、一般に作家のデビュー年って どのタイミングで決められるんでしょうね?

あっと、点の数については、素子さん自身の表記も揺れがあるらしいので、 最近は包摂してしまっていることにしています :-)


2002/05/10 (Fri)

[BOOK] Why Doesn't Sci-Fi Hit the Bestseller Lists?

/.より、どうしてSFはベストセラーリストに出てこないの?。 いずこも同じ、という気もする一方、日本の/.Jで同じネタを振っても あんまり盛り上がらなさそうな気もします。

[PROG] SOAP HTTP GET Binding

xmlhack.comから、 SOAP HTTP GET Binding

……本気ですか、というより、正気ですか? という思わないでもありません。 特に、リクエスト本体の名前空間URIと、 SOAPのencodingStyleのURIとを、 GETのパス指定にベタに書くところは、 あんまりにもあんまりだと思うのですが……。

普通に考えれば、

くらいが落とし所でしょう。GET時に使用するURIをここまで複雑にするんであれば、 何のためにGETを使うのかよくわかりません。「POSTじゃ安全じゃないし 等べき性が云々」と言うのであれば、新しいメソッドを使った方がマシ じゃないかと。 また、POSTでできる全てをGETでもできるようにする、という必要もないと 思います。

なーんて、こんなところで言ってても仕方ないんですが、xml-devで 闘う気力はないわたしです。

[WEB] 日記ページから

みらい子さんのところでほめられていてびびってしまいました。 私の書いたのなんてぜんぜんよくないですよー。……って、 ひょっとして「楽しみだなあ(ふふふ)」がミソなんでしょうか(汗  一応中身も考えてはいますし、私の『動物化するポストモダン』には すでに付箋が100枚ほど貼られています(謎)。しかし良くも悪くも いろんなところから突っ込める本なので、どこから攻めればいいのやら。

にじむさんの大塚・笙野関連ですが、さらにその前の群像の、 鼎談だったか四人談(って何て言うんでしたっけ)だったかを読まないと 話が通じないかもしれません。

おお、図書館の本職(大学図書館ですか?)のG.C.W.さんからリンクが。 とりあえず日記を2001年9月分くらいまでざっと読む。ふむー。 新潮45の楡さんの記事は読まれました? いかがでした?





written by TAKAHASHI 'Maki' Masayoshi (maki@rubycolor.org)
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