ただ、風のために。5 (2002/September)

遠い記憶
1999 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2000 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2001 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2002 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]

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2002/09/23 (Mon)

戻ってきました。

帰省ついでにいろいろと自分の過去を掘り返し、すっかり記憶から抜け落ちていた 過去に衝撃を受けたりしました。

[BOOK]北海道いい旅研究室

で、帰省した際に『北海道いい旅研究室』というムック(?)を発見しました。 温泉中心の北海道の旅の本です。

でも、内地では 書肆アクセスでしか扱っていないようです。ネット本屋でも駄目でしょうね。 札幌では 旭屋でも紀伊国屋でも リーブルなにわでも、しっかり平積みだったんですけど。

書肆アクセスさんの新刊紹介のページの バックナンバーでも紹介されておりまして、

 ついに!ついに!入荷しました!!★『北海道いい旅研究室 6』舘浦あざらし責任編集 は、お待たせしただけのことがある!今回も充実した内容です。「北海道の正しい温泉3」「愛されている犬と出会う旅」「いい旅読者が実際に泊まっておほめする宿BEST10」「北海道温泉リーフレット大賞」「旅先でどうじても気になっちゃうこと」などなど。いつ読んでも充実しています。毎度、北海道の新たな面を知らせていただける…冊子です。不定期刊行物なので、読者の方々に「まだですか?」と矢の催促を受けますが、この熱意ある内容が、たくさんの読者の方たちに待っていただける理由のような気がします。誇りをもった取材と歯に衣着せぬ本音が本書のチャームポイントですね。でたばっかりですが次号が待たれます。(本書内に★『北海道いい旅研究室Remix2』の予告もあり。10月1日発行予定です。)拙書★『神保町「書肆アクセス」半畳日記』を本の案内に掲載していただき、もう、北海道に足を向けて寝られません。北枕で眠ることにします。本体476円+税・海豹舎刊。

と、べたぼめなのですが、確かに読んでみると売れるのも納得できるんですよね。 循環+ろ過+塩素殺菌の温泉を「儲け主義の欺瞞温泉」、そうじゃない 温泉(他にも条件があるのかも)を「正しい温泉」と名づけてしまう ところや、温泉や他の本をほとんど実名(「洞爺Sパレス」とか「F股ラジウム」とか 「登別S水亭」とか)を挙げてぼこぼこに批判した投書を載せたりとか、 ふつうなら殺伐としそうな内容にも関わらず、「〜なり」 「〜ありまする」「〜するんよ」などの語尾やイラストのおかげか、 いい感じにのほほんとしています。一種独特な味わい。本の造りも それなりにしっかりしていて、素人の同人誌とは違う!という意気込みを感じるけれど、 次号については「次号も忘れたころに出ます」というおちがつくところも素敵です。 このバランスを保ち続けるのは難しそうです (執拗な中傷や心ない電話も多いとのことですし)が、ぜひ頑張ってほしい雑誌です。

翻訳SFファン度調査

林さんの翻訳SFファン度調査もやってみました。 読んでいたのは66作品。……と思ったら、『ホワイトライト』が未読なのに マークしてしまってました(汗 というわけで65作品ですか。でも、 『ヒーザーン』とかは読みつつも内容はぜんぜんわからなかったような 記憶があります。

眼鏡

レンズのコーティングが剥げてきた&フレームがずり落ちやすくなってきたので、 新しい眼鏡を買おうと思っています。それにしても、最近の眼鏡って、ほとんどみんな 縦が短いタイプのものしかないんでしょうか? つまらん……。


2002/09/26 (Thu)

Congratulations!

今日はのぞみの卒業式だそうです。おめでとー!

[RUBY] gifcat.rb

一歩さんのところより。

gifcat.rbではなくてRuby一般の話ですが、配列をメソッド引数に 展開するには、 readlines( * list) のように、変数の前に「*」を つけます。

それはともかく、GIFCatのインターフェースはPerl4くさすぎる きらいはあるんですけど。

文字コードと池田証寿『徒然草第百三十六段の一解釈――漢字使用の実態と漢字字体規範意識とのずれ―― 』

藤井さんのところより。うーん、そんな事を言う人って誰なんだろう……。

JISの文字コード規格の改正・開発に(途中から)関わっている当事者がどんな神経の持ち主なのかを 知るには、とりあえず池田証寿さん書いたものを読むのがおすすめです。比較的読みやすいので。 とりわけ、藤井さんのような問題意識を持っている人には、 『徒然草第百三十六段の一解釈――漢字使用の実態と漢字字体規範意識とのずれ―― 』(PDF) をぜひ読んでいただきたい。これは徒然草の読解を行う論文ですが、 (鎌倉時代における)メディア論や文字論や学問論や文字使用における規範意識など、 幅広い題材と射程を備えていて、非常に面白いものになっています。 論文だけあって結構骨がありますけど。

そこまで突っ込んだ内容でなくてもという人には、JIS漢字については 『JIS漢字批判のために(改訂版)』 『『電脳文化と漢字のゆくえ』拾い読み』、 JIS漢字と直接は関係ないところでは、 『諸橋轍次編『大漢和辞典』の<音義未詳字>』 『「五重塔」の《原テキスト》』 などがよさげです。

これくらいの議論が83JISの頃に行われていれば……というのは後の祭りってやつですね。 そもそもこれらがこのような形で読めることこそ、JIS漢字の「成果」と無縁では ないわけですから。

間違い

がーん、日付を間違えていたよ。

というわけで、ここより前は25日に書かれたものでした(_o_) でもリンクもされてるんで、ほっときます。

新井素子『ハッピー・バースディ』

買いました。

読みました(一人で笑ったり叫んだり悶えたりしながら)。

……。

胸がいっぱいです。

風邪のせいで頭痛と吐き気に悩まされながら読んだのですが それでも至福のひとときでした。

そうそう、あとがきを読むのは本文を読んでからの方がいいかもしれません。

というわけで、これから『グラン・ヴァカンス』の続きを読みます。


2002/09/27 (Fri)

鮎川哲也氏、逝く

まだスターターセットはほとんど読んでないので作品についての コメントはないのですが、鮎哲賞の選評で、作品の出来よりも何よりも、 とにかく「(優れた)本格かどうか」を論じていたのが印象的でした。 一つのジャンルを支える、支えつづけるのはこういう人なのか、と感じたものです。

国内ミステリを読まない人にはほとんど知られていない人かもしれませんが、 国内本格の世界における鮎川氏は、 要するにフリーソフトウェアの世界におけるストールマンのような位置にいた人だ (ストールマンほど嫌われてはいない)、と言えば、 そのすごさが伝わるかもしれません。

御冥福をお祈りいたします。

文字コード続き

藤井さんのところより。気に入っていただけたようで何よりです。

私もPDFは好きじゃないですが、縦書き・ルビ・JISにない字・二行割りの表題(って 組版用語では何ていうんでしたっけ?)の参考文献等、PDFの利点を十二分に利用した 文書なので、これはまあ許せるか、という気分になれます。

もう一つ、 やののところより。

うーん、「何のことはない、今あるソフトウェアを少し拡張してJIS X 0213を 使いさえすればカモメ問題は終わりなのです。」とまとめてしまうのは、 ちょっとやのらしからぬ乱暴さでは。 たとえJIS X 0213を扱える環境が広まったとしても、 JIS X 0213の併用を考慮しない文書の漢字自体規範意識と JIS X 0213を併用した文書のそれが異なり、また文書データそのものだけでは その区別がつかない以上、 どうしても(些細ではありますが)混乱が残ると思います。


2002/09/28 (Sat)

飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使I』

読みました。途中まではゲラで(送っていただきありがとうございました >塩澤さま)、途中からは(素子さんの『ハッピー・バースディ』 と一緒に買った)単行本で。

えーと、まず、 有里さんとか、 林さん とか、 ヒラマドさん とか、 ペインキラーさん とか、 向井さん とか、 u-kiさん とかの感想を読まれたほうがいいでしょう。

読みましたね?

では私の感想を書きます。

……ぜんぜん駄目でした。

何がどう駄目なのか、自分でもはっきりとは判らないのですが……まず、 とにかく、「古くさい」という感触があります。これは SFマガジン掲載の『夏の硝視体』を読んだときにも感じました。もっとも、作者自身、 あとがきで「ここにあるのはもしかしたら古いSFである」とは言っているのですが。 少なくとも「21世紀の新しいSF」(山田正紀さんの帯より)ではないでしょう。

作者は上の言に続けて、「清新であること、残酷であること、美しく あることだけは心がけたつもりだ」と言っており、それは確かにそうというか、 「よくできている」とは思うのですが、 私にとっては「清新さのための清新さ」、「残酷のための残酷」、 「美しさのための美しさ」にしか感じられませんでした。何が足りないんでしょう。 プロットと語りとキャラクターの統一感? 全体と部分の唱和? よく判りません。

描写にしても、理知に走るわけでもなく、さりとて幻想を味わわせてくれる わけでもなく、というところで、どっちつかずです。世界の広がりについても、 結局はAI空間の中で終始してしまい、外部世界については 少し匂わせる程度で終わってしまっています。これでは、 「小さな世界できれいにまとめてみました」ということになってしまいます。 もっとも、この辺りは続く作品で肉づけされていくことになるのかもしれませんけど。

コンピュータの知識はない方が幸せかもしれません。 せいぜい80年代型AI(ミンスキーとかね)から1ビットもはみ出そうとしていないAIに 萌えられない人は、単なる魔法と思って読んだ方がよさげです。

……まあ、私の感想は私のものでしかないので、 上に挙げたような他の方の感想なども参考にしていただければ幸いです。





written by TAKAHASHI 'Maki' Masayoshi (maki@rubycolor.org)
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