ただ、風のために。5 (2002/September)

遠い記憶
1999 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2000 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2001 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]
2002 [01(a,b,c) 02(a,b,c) 03(a,b,c) 04(a,b,c) 05(a,b,c) 06(a,b,c) 07(a,b,c) 08(a,b,c) 09(a,b,c) 10(a,b,c) 11(a,b,c) 12(a,b,c) ]

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2002/09/01 (Sun)

電話

昨日の朝はのぞみからの電話で起こされました。なんか恋愛相談っぽい話も あったような(それだけではありませんが)。むー。

恋愛相談は突き詰めると「頑張れ」か「さっさと別れれば?」の二つ になるような気がしますが、まだ付き合いが浅く、クリティカルな 事態が起きていなければ前者を勧めるべきだろうと思い、そうしてみました。

まあ、なんと言いますか、恋愛が終わっても人生は終わらない、というか。

アンサンブルとカラオケ

昼は某所で宴席があった後、アンサンブルの方々と合流しました。

林さんの言っている左半分の方の席にいたのですが、 こっちは何やらスポーツで体を鍛えるとか、スポーツは形から入るとか、 (8月になると)水着がどこにも売ってないとか、そんな話が多かったような。 海外SFの話でおぼえているのは『アルジャーノンに花束を』のドラマ化の 話くらいですか(<あんまり海外SFの話ではないかも)。

そのときにもちょっと話したのですが、 グレッグ・ベア『姉妹たち』(『タンジェント』『20世紀SF(5) 1980年代 冬の マーケット』所収)を長編化すれば、 「21世紀の『アルジャーノン』」の座も狙えるんじゃないかと、ひそかに思っています。 「デザイナーベビー」というネタはこれからどんどん重要になってくるでしょうし、 これで描写やプロットを膨らませて、キャラクター設定も整えて、最近の科学の知見も ちょっとだけ加えて(でもあんまり多く書きすぎないように気をつけて)やれば、 ロングセラーで100万部も夢ではないかもしれません。でもやっぱり夢なんだしょうね。

その後はカラオケ。昭乃さんの『叶えて』は複数の声をかぶせているので、 一人で歌うには向かず、玉砕してしまいました。ちょっと悔しい。 家に帰ってから確認してみましたが、どうやら、

「遠くへ(新しい)
あなたの心は(飛ぶ)
夢を見る
遠くへ(足元の)
願いを映して」

という感じで歌うのが限界のようです。これでも歌詞が一部落ちてますが、 それを一人で歌うのはちょっと無理でしょう。

Uconvその後

とりあえず動いたようで何よりです。

それにしても、開発環境を持たないWindowsユーザに対して、 どのRubyを勧めるかは悩ましい問題です。


2002/09/02 (Mon)

失恋の歌

には、「反省」という概念が抜けて落ちているものばかりだと 思う今日このごろ。やはり感情が先走ってしまうものなのでしょうか。

素子さん新作

「ハッピー・バースディ」bk1 / amazon / Yahoo! / 旭屋 / Jbook / 紀伊國屋 / eS! / 楽天 / 富士山 】 。

ああ、とうとう出てしまいますよ。

やさしい夫がいる幸せな家庭。そのうえ、小説家としても成功し、なんにも不足のない日々だったはずなのに・・・・・・・。何の意味もない、偶然の出逢いが、すべてを壊してゆく――。
(角川のサイトより)

ぐえええ。そんな話なのかそんな話なのか?? SFじゃなくて ホラーだとかミステリだとかいう話は聞いていましたが、 小説家の話だったとは。

しかし長編は『チグリスとユーフラテス』以来だからなあ。いろいろと 思うところは多いです。最近は「新井」よりも「新居」のほうが変換候補 に出てきやすくなってきていますし。でも、新井素子の小説については 「読まない」という選択肢は存在しないのでした。出たら買って読むのみです。

理想のPDAを求めて

どうも200LXに比べてVisorは使いにくいので、新しいPDAが ほしいと思っていました。

要求仕様はこんな感じです。

最初の2つで、すでに200LX以外みんな駄目なような気が。14時間は 割と妥協できそうではありますが、やっぱりいざというときに電池が 使えないのは痛いのです>u-kiさん
MorphyOneスレッドで、昼間は佐川氏をぼこぼこにけなしていながらも、 夜中になると「……でもやっぱりMorphyOneみたいなのがほしかった……」とか言い出してしまう 人たちの気持ちも理解できなくはありません。

そんな感じで悩んだ挙句、結局 「いつでもどこでもメモしたい」横着プログラミング 第1回: Unixのメモ技術で 有名な、 縦型鉛筆付き手帳を導入することにしました(汗

なお、上のページで紹介されているのはA1041ですが、 私が購入したのはもう一回りサイズが大きいA1043です。 これなら1ページ21行書けるので、それを4分割して上に月曜から木曜、 下に金曜から日曜と配分すると、一日5行、余白が1+6行できます。 まあ、これだけあればスケジュールは書けるでしょう。 TODOと連携できないのは残念ですが、ポストイットも駆使すれば なんとかなりそうな気がします。

手帳用シャープやボールペンは買いませんでした。正直、あのサイズだと 使いにくいし、スペースが小さい分、色を使い分けたいので、普段 持ち歩いている3色ボールペンを極力使うようにしたいと思っています。

しかし結局紙には勝てないのでしょうかねえ。紙の手帳は大学院生の ころ、200LXを導入するまで活用していました。これはこれで 便利でしたので、そこそこ使っていけるだろうとは思っています。

SFを選ばない人

林さんのところから、 お奨めアニメ判定(英語)。 「とりあえず好きなサブジャンルにSFを選ばない人の結果募集。 」 だそうで。 ちなみに私はGhost in the Shell でした。まあそんなものですか。

アンサンブル・プラネタ

向井さんのところから。うーん、毛色は確かに違うんですが、 割と隣接しているような感じがあるのです。昭乃さん的には 最近のよりはちょっと前、 Goddess in the morningのころの「ウクライナ」 「花かんむり」とか、「WANNA BE AN ANGEL」とかを 好むような人なら、とか。エキセントリック・オペラは 実は聞いたことないのです。

ちなみに9月14日午後5:00から、 山野楽器のイベントに出るそうです。いちおう行く予定。

ドクメンタ・反応

ららさんのところより。あー、記述はいまいち信用できないので、 あまり参考にしない方が(汗 いや、イベント自体は非常に興味深かった のですけれど。


2002/09/03 (Tue)

おまえら美しい日本語をお使いですか?

文藝春秋の臨時増刊号とやらで 『美しい日本語』なる本が出ています。

タイトルを見ただけでむかつく(という単語は「美しい日本語」じゃないらしい) 本なのですが、そこに米原万里さんの文章がありました。 この文章、題が素晴らしいのです。『言葉に美醜なく貴賎なし』。か、かっこいい……。 題名だけで全てを語っているので、内容はほとんど補足のようなものですけれど。

米原万里さんの本って読んだことなかったんですが、これを読んで 俄然読みたくなりました。「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」が 売れているようですが、ハードカバーなんで躊躇しています。

それはさておき、この本のようなイデオロギーについては、第1回小林秀雄賞(って何?)を 受賞したらしい斎藤美奈子さん辺りが批判してくれるような気がする (というか、すでに斉藤孝さんの著作の流れで批判していたような)ので、 期待しています。


2002/09/04 (Wed)

[RUBY] もっと賢いUTF-8自動変換

Moonwolfさんから指摘がありましたが、UTF-8の判別には Uconv.unknown_unicode_handler(unicode) を定義しておかないと 誤認識が多くなってしまうようです。

これを利用して、たださんが作ったサンプルが こちら。 これはGoogle系のものですが、ちょっといじれば他のサーチエンジンにも 応用できそうです。

んー、なんかRubyist!みたいな書き方になってしまいました。 ていうかunkfの話はあっちにも書くべき?


2002/09/05 (Thu)

[BOOK] 竹岡葉月『東方ウィッチクラフト─人の望みの喜びを─』

はい、『東方ウィッチクラフト』、最終巻でございます。

……うーん、前回と今回で、ちょっと急いで終わらせてしまった感も。 もうちょっと話のゆとりを持たせたほうが良かったと思うし、 『不思議な世界』の使い方も引っかかるところはあるのですが、 まあ、話自体はちゃんと落とすところでちゃんと落としてるんじゃないかと。 スキーのジャンプにたとえるなら、もうちょっと飛距離を伸ばせそうだったのに さっさと着地してしまって、でもフォームはきれい、という感じです。

ともあれ、ふだんシリーズ物は読まない私でも、最後までお付き合いできて、 うれしたのしな作品でした。私としても、全巻通してがんばってくれた 葉月さんに、素直にお礼を言っておきたい気分です。

[BOOK] 『チョムスキー』『ノーム・チョムスキー小論』

にじむさんのところより。

チョムスキーがまだ現役ばりばりで頑張っているというのは それなりに驚きではありますし、その政治的行動が日本でこれだけ クローズアップされるとは思っていなかったのですが、政治活動そのものに ついては、田中克彦『チョムスキー』【 bk1 / amazon / Yahoo! / 旭屋 / Jbook / 紀伊國屋 / eS! / 楽天 / 富士山 】 (←これは今手に入る岩波現代文庫版)で取り上げられていたので、 80年代後半以降に生成文法の周辺をやっていた人にはそれほど驚きでは ないような。

ところで、チョムスキーの政治活動と言語学研究との関連について 書かれたものとしては、 福井直樹『自然科学としての言語学』【 bk1 / amazon / Yahoo! / 旭屋 / Jbook / 紀伊國屋 / eS! / 楽天 / 富士山 】 に収録されている 『ノーム・チョムスキー小論』があります。 これは、明示的にそうとは書かれていないのですが、ひそかに 田中克彦さんへの反論という意味合いもあると思います。 チョムスキーを「理性の人」と捉え、その言語学研究と 政治活動の一貫性を説明し、チョムスキーの「深みのなさ」を 指摘しつつも、それも正攻法を選ぶ彼ゆえの特長であると肯定し、 「いつの時代にも、天才は徹底的である。」と結ぶ 福井さんの論述は感動的です。 チョムスキーの政治的言動と、それを能天気に賛美する人たちを見て、 どこか胡散臭いものを感じる人にこそ、ぜひ読んでほしい文章です。

福井さんはばりばりチョムスキアンな人で、「relativized X-bar theory」 という、原理とパラメタによるアプローチを押し進め、日本語と英語を 共通原理で説明しようとする説を考えてた人です。これの 説明もこの本の中で少し触れられていますが、これだけでは 理解しにくいかも。というか、この本の他の章では、 入門書にしては生成文法のやや高度な議論を行うので、 そちらの方はあまり初心者向きではないかもしれません。


2002/09/10 (Tue)

[BOOK]高野史緒『カント・アンジェリコ』

現在普通の書店では売っていない本です。図書館で借りて読めました。 これも早川あたりから文庫で出してほしいところです。

途中までは普通に面白い程度だったのですが、ラストのオペラのシーンで 驚愕しました。すごすぎます高野さん。 そっかー、高野史緒はこういうのがやりたかったのかー、 と思ったら、幻想文学のインタビューで本人がそう答えていて納得しました。

電話がなったり電飾が光ったりというのは、ネタとしては面白いですが、 お話そのものと絡まなければ「うまいね」「面白いね」で終わってしまうでしょう。 それがこの作品では、あのシーンを成立させるための必要な道具立てとして ちゃんと生きているのでした。カストラートというキャラクターについても、 その手の本を読めば(もちろんこの作品を読むために読んだのですが)確かに この世のものとは思えない衝撃を当時の人に与えていることもあったようなので、 ああいう描き方もアリでしょう。正直、緻密な完成度という点では あやしいところもあります(アップロード・ダウンロードは違うだろ、とか)が、 そんなものは吹き飛ばしてくれるくらいに祝福された光景だったと思います。

オペラやカストラートについて予備知識がまったくないと辛いかもしれませんが、 そんなにちゃんと知っているわけではなくても、 その手の本を多少読んどくだけでだいぶ楽しめると思います。もっと詳しい人だと さらに面白いんでしょうけどね。

[BOOK]米原万里

みくろさんのところから。 『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』はやはり「とにかくオススメの一冊」なんですか。 うーん、どうしようかな。 「ロシア語通訳経験に基づく爆笑エッセイ」よりも私の趣味に合っていそうなので 揺れます。

「SPACE STATION」の方も微妙に気になっていたりします。

IRI

XML Namespace 1.1のWorking Draftが出てるんですが、 IRIってなんなんでしょうか? URIはステ?

30代

最近 ベストアルバムも出したスズキショウコさん(たぶん本物)の 書き込みより。

これから30代をむかえるひと、または突入したばかりのひとにひとことメッセージ。30代って、 後半の方がヘビーで面白いゼ。

だそうですよ>最近30代に突入したばかりのひと(と他人事のように言ってみる)

クリスマスに祥子さんのライブがあるらしいので、チケットが取れたら行こうかと 思っています。南青山は結局取れなかったので。しかし一人で行くのはさみしさ 倍増かも……などという心配は、やっぱり今回もチケットは取れなさそうなので 杞憂でしょう。どっちに転んでも切ないのでした。

「美しい日本語」話の続き

滅・こぉるさんのところから。

基本的には後者の、「『美しい日本語』にみられるイデオロギーに反発している」 です。どういうイデオロギーなのかは、この本の目次の、

とか言いやがりくださるところからも推察できるでしょう。 ああ、本当に駄目ですね。こういう思考ってまったく肌に合いません。 「日本語の乱れ」について、具体的な検証を行う気概もなく、「日本語」と 「日本人」を並列させることの暴力にも不感症気味で、日本語のさまざまな 「美しさ」に目をやり心を配ることもせず、ただ後ろ向きにとりもどしたり 甦らせたりしようとする思考は、私は賛同できません。 どうして今、私たちがふだん使っている言葉に向かい合って、その中から 美や醜を丹念に見出そうとしたりしないのでしょう。これこそ、 私たちの身体感覚に根ざした私たちの言葉であるはずなのに。 『美しい日本語』などという冊子を編んだりするよりも、Cobalt誌上で 「プチポエム賞」の選考委員を行い、丹念に選評をつけている 阿部和重さんの方が、今の日本語に対する感性の向上によほど貢献している はずです。

それはさておき、言葉の美醜のありやなしや、という話については……うーん、 こちらについても安直に美醜を語ることには疑問を覚えます。 個々人や時代々々の美的感覚の違いの他にも、 単語レベルの美醜、構文レベルの美醜、 運用レベルの美醜はそれぞれ違いますし、文脈依存でもあるでしょう。 ついでに「貧富」についても論じるなら、「美しい日本語」を持ち上げて 「美しくない日本語」を排除・抑圧する思想からは、貧しい日本語しか 生み出さないことは確かだと思います。





written by TAKAHASHI 'Maki' Masayoshi (maki@rubycolor.org)
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