なんとなく本屋の詩のコーナーに行って、なんとなく一冊の手に取る。
「低空」 昼休みに 給食をぜんぶたべたら 好きなことして いいから わたしは 石を積もう きょうの 給食の牛乳には ケシゴムが入っていて わたしの 花壇は 荒らされていて 窓の外では 誰かの笑い声 教室では 誰も見ない 誰も聞かない わたし しんでしまった カーテンの 裏側には 鬼 がすんでいて わたしの 積む石を 壊してしまう (せんせいあのこの となりにすわるの はいやですばいき んがうつるんです) (略)
ネガティブな感情というものは、それが強ければ強いほど表現 しづらいものですが、それなりにうまく加工されて、 それでいてもその切実さを殺さずうまく残しているように思いました。
「イマワノキワ」 一通の手紙が届いた 十年来の友達から の遺書であった 大量の薬を飲み 息絶えていく彼女 の死に際を私は克明に想像できた 私の右脳には穴が開いている から 容易に感情は消え 去る 私の右脳には穴が開いている から いつまでも 満たされることはない 何を期待しているのだろう 絶頂 か 絶望 か どちらにしろ何かを期待 しているわけだから 私はどこまでも普通のにんげんなのだ (略)
あとがきの最後の一行、「大丈夫、私は元気です。」という 言葉に、すごく安心してしまったのですが、折込の 小冊子にも池井昌樹さんが似たような感想を書かれていました。 そりゃそうだよねえ。