この文書の目的は、Web上で何かのコンテンツを公開するにあたって、 多くの人に日記や掲示板など、Web上で参照・言及してほしい、 と考えている人のために、それに適した方法を提案しているものです。
Webで文書を読んだり書いたりしているひとたちにとって大切なことは、
の二点です。
第一点については言うまでもないでしょう。重いページやページを 分割するデザインが悪い場合など、一般的な 「Webのユーザビリティ」とそのまま直結しているかと思います。
第二点については、ユーザビリティ一般からは少しずれますが、 「言及される」という機能からは見逃せない点です。
なぜリンクしやすいことが重要なのでしょう。それは、あなたの 書いたコンテンツを、別の誰かが言及する場合を考えればはっきりします。 別の誰かの文書を読んだ人は、その参照元であるあなたの コンテンツを読みたくなります。この時に、でかいコンテンツを ダウンロードしなければ読めない場合と、リンクして数秒後に、 まさに言及しているその部分が画面に表示される場合とでは、 どちらが読みやすいかははっきりします。
つまり、あなたは、
だけではなく、
のことも考えなければいけないのです。
ある程度Webに慣れた人であれば、そもそも言及する際に、 自分のコンテンツの読者のことを気にかけています。そして、 その人のコンテンツ読者にとって参照しにくいものは、 極力触れないようにするかもしれません。 それは、あなたのコンテンツが広まる機会を逸することを 意味します。
概論はおおむね以上です。あとは、これに従うための各論に なります。言うまでもないことですが、各論は状況によって 使えない・使うべきでないこともあるので、 一概に参考にしていいとは限りません。各自判断してください。
Webの基本はHTMLです。 タグやスタイルシートをどう使うかとか、(X)HTMLのバージョンはどうする とかいうことも、「HTMLか否か」という選択に比べれば些細なことです。
その利点は言うまでもありませんが、 「ほぼ全てのWebブラウジング環境で参照できる」 ということに尽きます。 さらに、「検索サイトから検索されやすい」ということもあります。
私はw3mというテキストブラウザも常用しています。 特に、テキスト重視のコンテンツの場合、 (私にとって)適度な文字の大きさで表示される テキストブラウザは重宝します。 まして、PDFが読めない環境も、現在でも少なからずあります。HTMLに 勝るものはありません。
もちろん、文書の体裁からいって、どうしてもPDFや専用のソフトが 必要な形式で提供したいこともあるでしょう。その場合、できるだけ そういった部分を切り分けて、残りはHTMLで提供することが望ましいです。 または、全文はPDFで提供するにしても、主なところはHTMLの形で抜粋 して提供する、という選択肢もあるかもしれません。
これもブラウジング環境の問題です。gifは特許問題があるので 悩ましいのですが、もう少したてば特許も切れます。どうしても 気になる人は、jpegのみで行くか、古いブラウザは切り捨てて pngにしましょう。
見るにしてもリンクするにしても、ページ全体が適度な大きさに なっていることが理想的です。 あまり大きくない場合(この文書くらいの大きさの場合)は1ページで そのまま提供しても構わないと思いますが、ある程度以上を超えると、
という問題が生じます。そうなる前に、いくつかのページに分割 しましょう。
これはあまり考慮する必要がないと思われますが、 もしかするとCGIを使って順次提供したい、と思われている方も いるかもしれないので。
URLはリソースを一意に指定するものであるべきです。時間が たっても同じURLで同じ文書の同じ個所が指定できることが 望ましいです。とはいえ、Webの場合サイトの移動もありますから、 あまり長いスパンでは期待できないことも事実です。が、 公開してある程度の期間のうちに言及されることを期待するなら、 その程度で十分でしょう。
これはやや面倒かもしれません。また、適度な大きさに分割されて いれば、それ以上はたいして望まれないことも多いでしょう。
ただ、少なくとも「リンクしてほしい・リンクされるために提供 している」という気持ちを表すことになるので、あった方が望ましい です。リンクする側から言えば、別に段落ごとではなくて 構いませんが、章や節ごとにはリンク可能になっている方がいいかも しれません。
これは、ここまで述べてきたことと比較すると、かなり困難な点かもしれません。 「適切な場所」というのは、なかなか見つけにくいものです。
あらかじめ適切な場所を知っている場合は問題ないでしょう。 そうでないなら、頑張って探しましょう。どこも見つからない場合には、 「それっぽい話題を取り上げている掲示板などで宣伝する」ということに なりそうですが、その場合は場の雰囲気を読みとって、粗相のないように 気をつけましょう。……などと言って、それがすぐに実践できるようでは 苦労はしないのですが。
単に「話題になりたい」というだけなら、上に述べた方法以外にも、
とかいうダークな手法があります。が、勧めません。
この手の手法が使いこなせる人は、これだけ書けば(本当は書かなくても) どういうことをすればいいか判るでしょう。これで判らない人は、 (少なくとも現時点では)この手の手法を使いこなせない可能性が 極めて高いと思われます。素直に正攻法でいきましょう。
コンテンツを公開しても、あなたの望む反応が返ってこなかったり、 望まない反応が返ってくることはしばしば起こるかと思います。ここで 述べているのは、「言及・参照されやすいコンテンツ」を作ることで、 「あなたがこうしてほしいと思う方法で言及・参照されやすいコンテンツ」 を作ることではありません。そこまでコントロールするのは極めて困難ですし、 完璧なコントロールはおよそ不可能です。あきらめましょう。
それでも、アクセス解析のための仕掛けを用意して、どこから 参照されているか調べる、といったことくらいは試みてもいいかも しれません。もしかしたら何か有用な指摘をしてくれる人が いるかもしれませんし、そうした場合にはオリジナルのコンテンツに フィードバックすることもできます。多くの場合、あなたにとって 不利益になることはないと思われる指摘でも、あなたに直接教えてくれる 人はほとんどいませんし。
反対に、あなたの論旨をねじ曲げて解釈していたり、まったく 意味不明な反応を返す人がいることに気づくかもしれません。いや、 ある程度以上の反応があった場合、必ずいると思って間違いありません。 そうした場合には、すかさず反論・補足したくなるかもしれません。が、 すぐに反応する必要はありません (誤字・脱字など些細な修正くらいならさっさと直した方がいいかも しれませんけど)。むしろ、感情的・近視眼的になるのを避けるためには、 ある程度時間を置いた方が望ましいでしょう。 その後で、他の人の反応も参考に、バランスのとれたフォローをする のが理想的です。さらに、相手の反応によっては、何もフォロー しなくても構わないこともあります。 ともかく、あまり神経質になりすぎないことです。
……こんなところでしょうか。まあ、多くの場合、自分の書いたものが いろいろな場所で参照されるのは面白いものです(逆に言うと、面白がる ゆとりが欠かせません)。適度に楽しみましょう。
この文書は publid domain に置かれます。自由に使用・配布して構いません。
また、この文書は無保証です。この文書に従ったり従わなかったりしたために、 誰からも構ってもらえなかったり、どこかでぼこぼこにされたとしても、 筆者は一切関知しません。
TAKAHASHI 'Maki' Masayoshi (maki@rubycolor.org)
2001/07/28 ver.1.0公開